吹奏楽

■Ouverture Rythmique pour harmonie (1963)
吹奏楽のためのリズミックな序曲

 フランスの軍楽隊の編成を踏襲したオーケストレーション。Anime´, sans exageration(元気よく、ただしオーバーにならずに)のテンポ指示。曲中にはジャズ風のリズムを中心に終始コミカルに続く。いわゆる「ボザ・フレーズ」のほか、軍楽隊向けに作られたフローラン=シュミット「ディオニソスの祭」、ラヴェル「ボレロ」のフレーズが曲中に散見されることから、パリ・ギャルドレピュブリケーヌ管弦楽団の為の作曲と推察される。

編成:Picc-2-2-EsCl-10Clar-10Clar-BsCl-SSax-ASax-TSax-BarSax-3Trp-2Cornets-2Hrn-3Trb-2Bugles-3AltoHrn-2Euph-6Basses-6CBasses-2Cb-3Timp-BD-Cym-CR-Tamb-Cast-Glock-Xylo
出版:Alphonse Leduc(販売譜)*スコアはコンデンススコアのみ。
演奏:約7分。


■Chirdren's Overture (1964)
子どもの序曲

 アメリカン・ウィンド・シンフォニーの委嘱により作曲。この団体の作品はペータースによってライブラリー化されており、その流れでボザの作品もペータース取り扱いとなっている。カタログでは「管弦楽曲」となっているが、室内楽に種別するのが適当といえる。日本では吹奏楽形態で演奏されるが、純粋な吹奏楽向けの作品ではなく、1パート1本で演奏する、管楽合奏のための作品。よってサキソフォン・バリトン類は編成に組み込まれていない。吹奏楽ではクラリネットは複数で演奏されるが、この作品では他の室内楽品と同様、当然に1パート1人で吹くのが本来の姿といえるが、実際の演奏では同じパートを複数の奏者が吹いてバランスを取ることが多い。
 曲の冒頭はAllegro Vivo、トランペット4本の華やかなファンファーレで始まる。レスピーギ「ローマの噴水」を彷彿とさせるオープニングの後「Marlbrough s'en va-t-en guerre(マルブルーは戦争に行ってしまう)」ほか「ヨーロッパで親しまれている童謡を中心に楽しく聴けるよう作曲されている。途中イングリッシュホルンによる憂いあるフランス民謡「Le Bouvier」をはさみむが、すぐに後半へ続く。曲後半はラヴェルの歌劇「子どもと魔法」で《数字》の役(児童合唱)が歌う半音がぶつかるフレーズを巧みにの引用しトランペットから木管へ移行、《ボザ・フレーズ》を背景に4本のホルンで奏される「フレール・ジャック(日本では「ロンドン橋」の名の方が有名)」も現れる。サーカス風の三拍子を挟んで「ローマの噴水」の引用を再び再現して終わる。

編成:Picc-2Fl-2Ob- CA-2Cl-BsCl-2Bsns-2CBsn 4-4-2-BsTrb-1 Hrp-Pf-Timp-5Perc.Piano, Timp., 5 Perc(Snare Drums, Cymbal, Bass Drum, Triangle, Chime, Gong, Xylophone, Vibraphone)
*スコアではコントラファゴット2名と指示があるが、実際は1名で十分と思われる
出版:Edition Peters(レンタル譜)
演奏:約7分。

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